Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展
中堅アーティストを対象に、受賞から複数年にわたる継続支援によって、更なる飛躍を促すことを目的に、東京都とトーキョーアーツアンドスベースが2018年度から実施している現代美術の賞 「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」。第4回となる「TCAA 2022-2024」受賞者のサエボーグと津田道子による受賞記念展を東京都現代美術館で開催します。
本展は、それぞれの個展として「I WAS MADE FOR LOVING YOU」 と 「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」というタイトルを冠しました。隣り合うふたつの展覧会は制作に対する関心もアプローチも大きく異なり、それぞれが独立したものでありながら、展示室内での鑑賞者のふるまいが作品の一部となるという共通点を持っています。鑑賞を通じて自身に向き合うことで、動物を含む他者との関係性や、社会的に期待された役割などに目を向けることにもなることでしょう。
「Cycle of L」公演風景(高知県立美術館、2020)
撮影:釣井泰輔
サエボーグ 「I WAS MADE FOR LOVING YOU」
主な表現手段であるラテックスのボディスーツによるパフォーマンスは、回を重ねるごとに内容をさまざまに変容させ、新たなキャラクターを生み出し続けてきました。これまでのパフォーマンスを土台に作り上げる本展では、作品の軸となってきた人間と動物の関係性というテーマの中で、「ケア」の視点に立った作品を発表します。展示室の中では鑑賞者がパフォーマンスの一部となることで、観る側が時として観られる側に回るような、美術館の展覧会の構造を利用した仕掛けを試みます。
撮影:ZIGEN
1981年富山県生まれ、東京都在住。
半分人間で、半分玩具の不完全なサイボーグとして、人工的であることによって、性別や年齢などを超越できると捉えるラテックス製のボディスーツを自作し、パフォーマンスとインスタレーションを国内外で展開する。カラフルで、デフォルメされた雌豚や牝牛などの家畜や害虫などが繰り広げるパフォーマンスは一見明るく楽し気だが、人間の残酷性や消費の問題のみならず、人間社会における介護やケアの問題にも接続し、強者/ 弱者、支える側 / 支えられる側という二項対立ではおさまらない、多様性の受容、共生の問題に発展させている。
近年の主な展覧会や公演に、「ミドルズブラ・アート・ウィーク」(イギリス、2023)、「世界演劇祭 2023」(フランクフルト、オッフェンバッハ、ドイツ)、「Ultra Unreal」(シドニー現代美術館、2022)、「Reborn-Art Festival 2021-22」(牡鹿半島(桃浦)、宮城、2021)、個展「LIVESTOCK」(PARCO MUSEUM TOKYO、東京、2021)など。
《東京仕草》 2021「Back TOKYO Forth」展示風景(東京国際クルーズターミナル、 2021)
撮影:Akira Arai(Nacása & Partners Inc.)
津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」
近年強く関心を寄せている「身体性」について追求する中で、自身の幼少期に、ビデオカメラが家に来て最初に撮影されたホームビデオに収められた家族の出来事から着想した新作を中心に、映像装置が組み込まれたインスタレーションを発表します。撮影者の視点がレンズ越しに収められたどこにでもありそうな出来事の再演は、家族という最小単位の社会による、きわめて個人的な記録を起点としながらも、集団の中での人々の立ち位置やシステムへと、その領域を広げていきます。
撮影:奥祐司
1980年神奈川県生まれ、石川県在住。
映像メディアの特性にもとづき、インスタレーションやパフォーマンスなど多様な形態で制作を行う。映像装置とシンプルな構造物を配置し、虚実入り混じる作品空間が、鑑賞者の視線や動作を操作し、知覚や身体感覚についての考察へと導く。また、2016年よりパフォーマンス・ユニット「乳歯」として、小津安二郎の映画作品における登場人物の動きを詳細に分析し、そこに内在する人との距離や、女性の役割に関する問題を可視化するパフォーマンスなどを展開する。
近年の主な展覧会や公演に、個展「津田道子 so far, not far」(金沢アートグミ、2023)、「とある美術館の夏休み」(千葉市美術館、2022)、「第 10 回アジア・パシフィック・トリエンナーレ」(クイーンズランド州立近代美術館、ブリスベン、オーストラリア、2021)、個展「トリローグ」(TARO NASU、東京、2020)、「『インター + プレイ』展 第 1 期」(十和田市現代美術館、青森、2020)、また、乳歯として「OPEN SITE 2019-2020」(TOKAS 本郷、2020)など。
関連イベント
◆ アーティスト・トーク
TCAA 2022-2024 選考委員と出展作家が選考を振り返りながら本展出展作品や今後の展開について話します。
日時:3月30日(土)14:00~15:30(開場 13:30)
出演:サエボーグ、津田道子、ソフィア・ヘルナンデス・チョン・クイ(クンストインスティテュート・メリー ディレクター/TCAA 2022-2024選考委員)
モデレーター:塩見有子(特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ [AIT]ディレクター/TCAA選考会運営事務局)
会場:東京都現代美術館 地下2階講堂(江東区三好 4-1-1)
定員:200名
※入場無料・要事前申込・先着順/日英同時通訳あり
※その他、各種イベントを開催予定です。申込方法等の詳細は、3月上旬にTCAAウェブサイトでお知らせします。
開催概要
会期 | 2024年3月30日(土)〜7月7日(日) |
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会場 | 東京都現代美術館 企画展示室 3F |
住所 | 135-0022 東京都江東区三好四丁目1番1 |
時間 | 10:00-18:00 |
休館日 | 月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日 |
主催 | 東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 トーキョーアーツアンドスペース・東京都現代美術館 |
協力 | TARO NASU |
URL | 【Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)|公式サイト】 https://www.tokyocontemporaryartaward.jp/ |
SNS | https://www.instagram.com/tokyoartsandspace/ https://twitter.com/tokas_jp https://twitter.com/tokas_en https://www.facebook.com/TokyoArtsandSpace |
「枝川」出口から約10分
都営地下鉄大江戸線「清澄白河駅」より徒歩13分