展覧会概要
本展では、20世紀初頭のパリを彩った多彩な表現を、当館コレクションからご紹介いたします。パリに集まった多くの異邦人からなるエコール・ド・パリ、前衛的な表現を探求したフォーヴィスムやキュビスム、シュルレアリスム、そして日本からパリに渡った作家たちの表現をご覧ください。シュルレアリスムに関わったジョルジョ・デ・キリコとポール・デルヴォーの作品は、約10年ぶりの展示となります。
さまざまな造形的実験をご紹介
フランス国内外の芸術家が集い、国際的な芸術の中心地となっていたパリでは、数々の新たな表現が生まれました。従来の規範を乗り越えようとしていた彼らは、時代や場所を越えて表現の可能性を模索し、押し拡げ、次の世代へと繋ぎました。本展では、当館コレクションから総勢20名を超える作家たちの作品を一堂に会し、彼らの制作動機に迫ります。過去から未来へと受け継がれていったさまざまな「レガシー」を感じ取っていただければ幸いです。
ラウル・デュフィ《信号所》1924年
表現の解放
20世紀初頭、新たな表現の探求の口火を切ったのは、フォーヴ(野獣)と評された作家たちでした。彼らの激しい筆致で描かれた作品は、驚きと動揺をもって受け止められました。
ある批評家にフォーヴと形容され、その動向はフォーヴィスムとして知れ渡りますが、彼らは明確な理念を掲げ、結束して活動したわけではなく、フォーヴィスムと呼びうる激しい表現が一つの傾向として見られたのは、わずか数年間にすぎません。客観的にリアルに描くという西洋絵画の伝統からの離脱を印象派からさらに推し進めた彼らは、その後、それぞれに表現を探求することになります。
本展では、フォーヴィスムに大きな影響を与えた新印象派の画家、ポール・シニャックとアンリ=エドモン・クロッスの作品を起点に、モーリス・ド・ヴラマンクやキース・ヴァン・ドンゲン、ラウル・デュフィら、フォーヴと呼ばれた作家たちの作品をご紹介します。
モイーズ・キスリング
《シルヴィー嬢》1927年
国境と時代を越えて
19世紀からすでに、東洋やアフリカの植民地の美術品や工芸品がヨーロッパで広く知られるようになっていました。物珍しさから西洋人の興味を引いていたそうした造形物は、単なる異国趣味を超えて、芸術家たちを引き付けていくことになります。社会的動乱の中で、多くの芸術家が西洋の外側の文化に眼を向けました。
パリはまた、世界各地の芸術家が目指す芸術の中心地でもありました。モディリアーニ、キスリング、シャガール、フジタといったエコール・ド・パリと呼ばれる異邦人の作家たちは、生活に苦しみながらも、それぞれの表現を追い求めました。
彼らの多くは、国境だけでなく、遠く離れた時代の造形も重要な参照源とし、美を継承していきました。本展では、数々の文化交流から生まれた多様な表現を松岡コレクションからご紹介します。
ポール・シニャック《オレンジを積んだ船、マルセイユ》
1923年 油彩・カンヴァス
開催概要
展覧会名
レガシー ―美を受け継ぐ
モディリアーニ、シャガール、ピカソ、フジタ
会期
2024年6月18日(火)〜2024年10月13日(日)
休館日
毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
開館時間
10:00〜17:00(最終入館時間 16:30)
毎月第1金曜日 10:00~19:00(最終入館時間 18:30)
入館料
一般:1,200円 / 25歳以下 500円 / 高校生以下、障がい者手帳をお持ちの方 無料